Vibrational couplings and energy transfer pathways of water’s bending mode

Chun-Chieh Yu, Kuo-Yang Chiang, Masanari Okuno*, Takakazu Seki, Tatsuhiko Ohto, Xiaoqing Yu, Vitaly Korepanov, Hiro-o Hamaguchi, Mischa Bonn, Johannes Hunger*, and Yuki Nagata* 

in Nature Communications

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ドイツMax Planck Insititute for Polymer Research 永田グループ、台湾交通大学 濵口研、大阪大学 大戸先生との共同研究です。みなさまありがとうございます&おめでとうございます!

水分子のOH伸縮振動の分子内・分子間カップリングや励起エネルギーの緩和過程はこれまで非常によく調べられてきています。一方、OH伸縮振動のエネルギーの緩和先として重要なHOH変角振動に焦点をあてた研究はあまりありません。本研究では、HOH変角振動の分子間カップリングを赤外吸収・ラマン散乱・ハイパーラマン散乱による重水素置換した水溶液の測定から、エネルギー緩和過程を超高速赤外分光から明らかにしました。OH伸縮振動では分子間の伸縮振動間のカップリングが非常に重要ですが、変角振動同士の分子間カップリングは非常に小さいことがわかりました。また、変角振動のエネルギーは周囲の分子の変角振動へと緩和するのではなく、分子内の束縛回転運動(librational mode)への緩和が主であることが示唆されました。

本研究室は、重水素置換した水溶液のラマン測定およびハイパーラマン測定を行い、それらのスペクトル中のHOH変角振動が重水素置換によって、小さなピークシフトを除きスペクトル形を変えないことを示し、分子間の変角振動同士のカップリングが小さいことを示しました。水溶液中のH2O濃度を 1%まで下げたHOH変角振動のハイパーラマン信号取得という結構大変な実験でした…

 

 

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